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Akita's Future
「自ら作って売る」が根付く
五城目町だからこそできた
新しい教育のかたち

子供達に考える力を!
五城目町のキッズクリエイティブマーケット

秋田県の五城目町(ごじょうめまち)で500年以上続く朝市。さまざまな店が建ち並ぶなか、子供たちが元気な声を張り上げ道行く人を呼び込んでいる店があった。キャリア教育の一環として朝市への出店を行っている「キッズクリエイティブマーケット」の店だ。

地域の資源を活かした新しい教育手法に注目が集まっている。

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自分の力で稼ぐ職業体験

「キッズクリエイティブマーケット(通称:クリマ!)」は、NPO法人cobon及び合同会社G-experienceが主宰する職業体験プログラムだ。同プログラムでは子供たちが3~5人のチームをつくり、話し合いながら、朝市で販売する商品やサービスを開発し、製作する。

アイデアをかたちにする手法には、企業や学校で問題解決に際に使われる「デザイン思考メソッド」が使われている。朝市当日には実際に店を出し、子供たちが店頭に立って商品・サービスを販売する。手にした収益の使い途を決めるのも自分たちだ。

NPO法人cobon 代表 松浦 真さん
NPO法人cobon 代表
松浦 真さん

「ある回のクリマ!では、『疲れているお母さんたちのために』をテーマに、マッサージのサービス提供と手作りミサンガの販売を行い、2時間で2,250円を売り上げました。自分たちの力でお金を手にすることができ、子供たちは達成感を覚えてくれたようです。

商品開発から販売までの一連の流れを楽しみながら体験させることで、仕事を創り出す力や、仕事によって未来を創り出す力が養えます」とNPO代表の松浦 真さんは説明する。

五城目朝市

1495年から続く秋田県内でも最も古い歴史を持つ朝市。地元産の野菜や山菜、魚、工芸品、日用雑貨など、近郊からさまざまな品物が集まり、多くの人出で賑わう。毎月2・5・7・0のつく日に開催されている。

秋田なら本物の体験ができる

松浦さんはこれまで10年間にわたって独自の教育事業を行ってきた。関西では、仮想の街を舞台に、子供たちが仕事を考え出したり、仕事で得た仮想通貨を使って買い物をしたりすることで、お金や社会の仕組みを学ぶプログラムを実施している。

このプログラムには延べ1万8,000人の子供が参加した。また3年前からはインドネシアの貧困層の子供たちに向けたプログラムも実施している。

合同会社G-experience 代表 松浦智子さん
合同会社G-experience 代表
松浦智子さん

「仮想の街で仕事をするプログラムでも大きな成果はありますが、やはり、自ら作ったものを売って、本物のお金を得るという体験には替えられません。本物の体験ができる場所がないかと探していたところ、出会ったのが五城目町でした」。

真さんの妻で合同会社G-experience代表の智子さんはそう振り返る。

2人が五城目町に訪れた時、朝市でお年寄りが、自ら作った野菜や小物を売っている様子を見て、「ここに子供たちが出店できれば地域のおじいちゃん・おばあちゃんから売ることを学べる」と直感したという。

松浦さん一家は2016年4月に五城目町に移住し、クリマ!をスタートさせた。

「こちらに移住して半年になりますが、改めて、私たちのやりたい教育に適した環境が整っていると感じます。例えば、農業や林業など、自然のなかで地に足が着いた生活をしている人が多く、長期的な視野で物事を考えている。そして自然や伝統文化といった資源が豊富にある。

また学校教育でも、運動会や遠足のプログラムを子供たちに企画させるなど、自主性を重んじる教育が行われています。この五城目町という環境と、私たちのノウハウを組み合わせることで、全く新しい教育がつくれるという可能性を感じます」(真さん)

松浦さんご夫妻

松浦さん家族も絶賛!
秋田のうまいもの

教育環境だけではなく、食の豊かさも秋田県の魅力だ。「特に美味しいのは山菜や野菜、それから比内地鶏のスープ」という真さん。関西出身で粉モノが大好物だったが、五城目の野菜・山菜中心の食生活に変えたところ9kgものダイエットに成功した。

また、夏になると秋田県内の国道沿いなどで販売されている「ババヘラ」と呼ばれるアイスは、美味しさもさることながら、そのビジネスモデルが秋田県民のクリエイティビティを表していて興味深いとか。

五城目朝市で売られている新鮮な山菜
五城目朝市で売られている
新鮮な山菜
夏場はどこでもババヘラアイス
夏場はどこでも
ババヘラアイス

子供たちのペースに合わせた教育の場を

松浦さんたちはクリマ!の他にもう一つの教育事業を始めようとしている。「ハイブリッドスクーリング」というものだ。

松浦 真さん

「学校が合わずに不登校になっている子供はたくさんいます。『なんとなく行きたくない』とか、『授業のスピードが自分に合わない』というのがその理由です。

どちらにしても子供たちが悪いわけではありません。本来は、子供たちのペースや興味に合わせて、それぞれの子が持つ力を最大限に引き出してあげるのが理想です。しかし日本の公教育ではそれは難しい。

そこで、オンラインスクールと、五城目朝市でのクリマ!のような地域学習を組み合わせた、ハイブリッドスクーリングという教育の場を提供しようとしています」

五城目町ならではの教育が実現し、賛同してくれる人が増えれば、教育のために五城目町に移住しようという家族も出てくる。延いては人口減少問題の緩和にも貢献できるのでは、と松浦さんたちは考えている。

地域資源をベースに、独自のノウハウを組み合わせることで、新たな価値をつくる松浦さんたちの取り組みは、人口減少や高齢化問題といった日本全体の課題を解決する切り札となるかもしれない。

2016/11/30 Neojapan
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