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Akita's DNA
伝統工芸の特長を活かし
価値の高い曲げわっぱを創る

秋田県の特産品:唯一の伝統工芸品指定「大館曲げわっぱ」

秋田県の大館市は、秋田杉を使った「大館曲げわっぱ」の産地として名高い。中でも、板の切り出しから全工程を丹念な手作業で行う柴田慶信商店の「大館曲げわっぱ」は、注文から入手まで6カ月待ちという大人気の逸品だ。

国内はもとより海外からも続々注文が舞い込むのは、大館曲げわっぱ本来の伝統を守りつつ新たな挑戦という葛藤の結果、柴田慶信商店独自の「新しい大館曲げわっぱ」を築き上げたからだろう。

低迷期に進むべき道筋が見えてきた

柴田慶信商店 柴田昌正さん
柴田慶信商店
柴田昌正さん

大館曲げわっぱの製造から販売を行う柴田慶信商店の2代目の柴田昌正さんが、この仕事を選んだ理由として「小さい頃から父が楽しそうに仕事をしている姿を見て、自分も将来『この仕事をするんだ』と自然に思っていました」と語る。

当時は、プラスチック製品の普及に押され、大館曲げわっぱの需要が落ち込んでいた低迷期。国内での販売が伸び悩む中、柴田慶信商店は販路拡大を目指して、海外進出を試みた。しかし、結果は芳しくなった。

昌正さんは「現地の生活を想定してトレーやマグカップなどを作りましたが売れなかったです。何より販売を問屋に一任し、他人任せにしていたのがよくなかったと思います」と当時を振り返る。

そこで、当時海外で認知度が低かった白木弁当箱やおひつなどを自らの手で現地に持ち込んだところ、大館曲げわっぱは予想を超える高い反響を得た。

昌正さんは、「海外の方に『BENTO』という文化を含め、『大館曲げわっぱ』の魅力をわかってもらえた」と当時を振り返る。この体験が、今日の製品作りにも大きな影響を与えているのだ。

唯一の伝統的工芸品、
大館曲げわっぱ

大館曲げわっぱは、秋田杉から切り出した薄い板を加工して作る曲げ物の一種。弾力性に優れ美しい木目の天然秋田杉の産地である土地の利を活かして江戸時代から生産されるようになり、1980年に全国各地で作れる曲げわっぱの中で、唯一伝統的工芸品として選定された。

2013年に天然秋田杉の伐採が制限され、今後新たに材料を入手するのは困難なため、大館曲げわっぱの希少性は高まる一方だ。

大館曲げわっぱ

相手に媚びず伝統文化を重んじる

柴田慶信商店では、無塗装仕上げにこだわっている。樹齢約150年以上の天然秋田杉から薄い板を切り出すところから大館曲げわっぱが完成するまでの全工程を手作業で行う。

昌正さんは、「きめ細かな木目の天然秋田杉はデリケートな素材なので、気温、湿度に合わせて力加減を微妙に調整しないといけないんです」と機械による大量生産ができない理由を語る。

イメージ
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消費者のニーズは二分化しており、大館曲げわっぱを含めた曲げ物と呼ばれる木工品は、仕上げにウレタン塗装を施す製品も増えてきた。塗装した製品は手入れが楽だが、杉本来の特長が失われてしまう。

柴田慶信商店がこだわる天然秋田杉は、水分をほどよく吸収し、ごはんが冷めてもベトつかない。殺菌性にも優れた素材だ。天然秋田杉特有の爽やかな香りもごはんの味を引き立てる。

こうして、無塗装仕上げの大館曲げわっぱを作り続けるうちに、柴田慶信商店の大館曲げわっぱは口コミやSNSなどをきっかけに大人気の品になった。

大館曲げわっぱ

柴田慶信商店の製品は、平成18年度グッドデザイン賞におけるロングライフデザイン賞受賞をはじめ、数多くの受賞歴を誇り、大館曲げわっぱの中の最高峰とされている。

現在、柴田慶信商店は都内にも2店舗を構え、さらに出店の要請が後を絶たないほど引く手あまたとなった。しかし、昌正さんは、現状に甘んじることなく新たな挑戦を始めている。

柴田慶信商店 浅草店

〒111-0032 東京都台東区浅草1-17-5
TEL : 03-6231-6477
FAX : 03-6231-6477
営業時間 : 10:30~19:00
定休日 : なし

柴田慶信商店 日本橋三越店

〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-4-1
日本橋三越 本館5階 デイリーダイニング
TEL : 03-3274-8527
FAX : 03-3274-8763
定休日:なし

既存の伝統文化の中に新たな価値を見出す創造性

柴田慶信商店では、江戸時代から伝わる大館曲げわっぱの文化や技術を活かしつつ、日本酒を運ぶための「日本酒バッグ」や「色鉛筆ケース」など新商品開発にも力を入れている。

曲げわっぱの日本酒バッグ
曲げわっぱの日本酒バッグ
曲げわっぱの色鉛筆ケース
曲げわっぱの色鉛筆ケース

柴田慶信商店は、製造直売というスタイルを大切にしている。時間と手間がかかる製造直売を続ける理由について、昌正さんは「自分が作った商品を買ってくれるお客さんの顔を、自分の目で確かめたいんです」と語る。

「お客さんとマンツーマンで触れ合う機会を大切にしたい」と思っているのだ。

曲げわっぱの制作工場:柴田慶信商店
参考データ:天然秋田杉の紹介(東北森林管理局)、伝統的工芸品指定品目一覧[都道府県別]平成27年6月18日時点(経済産業省)
2016/11/30 Neojapan
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