デスクネッツは情報共有で
地方活性化をサポートします
読み込み中です。
もう少しだけお待ちください。
*画面が変わらない場合は、リロードしてください。
L
O
A
D
I
N
G
焼酎王国かごしま④
「味わう」
五感を満たす本格焼酎の紹介

【味わう】麹やさつま芋の品種へのこだわり、癖の強い焼酎

五感で楽しむ焼酎の「味わう」は、 「蔓無源氏(つるなしげんぢ)」(国分酒造)を推したい。蔓無源氏は、さつま芋の品種名でもある。焼酎に使われるさつま芋の品種は黄金千貫が主流だが、そのほかのさまざまな芋も使われる。

ワインの香りや味わいがブドウの品種によって変わるように、焼酎の香りや味わいも芋によって変わる。

「蔓無源氏」国分酒造
「蔓無源氏」
国分酒造

蔓無源氏(芋)は明治40(1907)年に発見され、昭和初期までは鹿児島で一般的に作られていたさつま芋。戦争を機に収量や形状の優るほかの芋に取って代われ、絶滅状態になった。今から約100年前に好まれていたこの芋を国分酒造(こくぶしゅぞう)が復活させ、原料に使った焼酎を2009年に発売した。それが「蔓無源氏」である。

なぜこのような試みをしたのか。国分酒造 代表取締役の笹山 護さんは説明する。

国分酒造 代表取締役笹山 護さん
国分酒造 代表取締役
笹山 護さん

「国分酒造には、主原料だけでなく麹にも芋を使って仕込んだ、業界初の芋100%焼酎『いも麹 芋』があります。開発前は芋くさいのではと心配していましたが、完成したものは、さつま芋の風味がしながらもすっきりとしてキレのある味わいになりました。それがきっかけとなり、新商品開発の面白さに目覚めた私たちは、より特徴のある焼酎を造りたいとの思いから、原料である芋に目を向けました」

昭和41年に開発された黄金千貫ではなく、大正時代のさつま芋を使い、大正時代の手法で焼酎を造ったらどうなるのか。それを実現するために調査していくなかで、蔓無源氏の存在を知る。鹿児島県農業試験場に足を運び、残存する苗を分けてもらい、霧島市の農家・谷山秀時さんに栽培を依頼し、種芋を増やすところから開発をスタート。その後、数年に及ぶ試行錯誤の末、「蔓無源氏」の販売に至ったという。

100年昔のさつま芋で造った焼酎は、芋の香りが、これでもか!というくらいに押し寄せてくる。ふかし芋のような独特の甘みと濃い味わいが特徴だ。

国分酒造の新商品への取り組みはその後も続く。2013年には、蔓無源氏と芋麹を使った芋100%焼酎「安田」を発売。さらに2018年、 「鹿児島香り酵母1号」という新たな酵母を使って挑んだ「flamingo orange」を発売。柑橘系のさわやかな香りを感じる焼酎として、大きな話題となった。常に新しい挑戦を続ける国分酒造から目が離せない。

芋100%焼酎「安田」と柑橘系の香りが特徴の「flamingo orange」
芋100%焼酎「安田」と
柑橘系の香りが特徴の
「flamingo orange」
会社敷地内にある天然水の水汲み場
会社敷地内にある
天然水の水汲み場
貯蔵タンクで熟成がすすむ蔓無源氏
貯蔵タンクで熟成がすすむ
蔓無源氏

かごっまふるさと屋台村で出会った、蔓無源氏に合う料理

かごっまふるさと屋台村の店舗番号20「桜島灰干し家 せいせん」、23「籠ノ島」で、蔓無源氏に合う料理を探してみた。

せいせんの店長XXXXXさん
せいせんの店長
片平周作さん
籠ノ島の店長繰 英一郎さん
籠ノ島の店長
繰 英一郎さん

まず桜島灰干し家 せいせんでは、なんといっても「蔓無源氏の天ぷら」 だ。味わったことのない、ねっとりと上品な甘みとホクホク感に顔がほころぶ。ただし、いつもあるメニューではないので注意が必要。

まろやかな甘みがたまらない蔓無源氏の天ぷら
まろやかな甘みがたまらない
蔓無源氏の天ぷら

有機飼料のみで飼育した鹿児島シャポーン鶏を使った「シャポーン鹿児島鶏タタキ」は臭みがなく、柔らかで自然な甘み。「桜島灰干し きびなご炙り焼き」には驚かされた。食べた後に蔓無源氏を飲むと、口の中で花が開くように芋の香りが広がるのだ! 焼酎には最強の肴かもしれない。

芋100%焼酎「安田」と柑橘系の香りが特徴の「flamingo orange」
蔓無源氏とベストマッチ
きびなご炙り焼き
シャポーン鹿児島鶏タタキ
シャポーン鹿児島鶏タタキ
桜島の火山灰で作る干物が“売り” のせいせん
桜島の火山灰で作る干物が
“売り” のせいせん

黒豚、うなぎ料理の店「籠ノ島」では、「大隅産 うなぎの蒲焼」を頼んだ。地下水で育てられたうなぎは、ふっくらと肉厚で食べやすい。次は「枕崎直送 カツオ腹皮の唐揚げ」。腹皮とはいっても、マグロでいうトロ部分なので、脂が乗っていてうま味が凝縮されている。そして、数日間だけメニューに登場する手作りの「らっきょう漬け」で口の中がリセットされた。まだまだ焼酎と食事が進みそうである。

パリッとした歯ごたえ大隅産 うなぎの蒲焼
パリッとした歯ごたえ
大隅産 うなぎの蒲焼
枕崎直送 カツオ腹皮の唐揚げ
枕崎直送 カツオ腹皮の唐揚げ
店長のお母さんが仕込んだ限定らっきょう漬け
店長のお母さんが仕込んだ
限定らっきょう漬け

一次仕込みの米、原料の芋にこだわった「侍士の門」

もうひとつ、芋に特徴のある味わい深い焼酎をご紹介したい。太久保酒造(おおくぼしゅぞう)の「侍士の門(さむらいのもん)」だ。

鹿児島県の東側、大隅半島にある太久保酒造は、その成り立ちが独特だ。太久保酒造 代表取締役社長の中山信一さんは会社の歴史をこう説明する。

「侍士の門」太久保酒造
「侍士の門」
太久保酒造

「大隅半島では昔から、火山灰によって形成されたシラス台地を利用したさつま芋などの栽培が盛んに行われてきました。そのため焼酎メーカーもたくさんあります。私たちはもともとさつま芋の問屋でしたが、農家と一緒にいい原料を作りたいとの思いから農業法人を設立。さらにその後、1910年創業の久保醸造の経営を引き継ぐかたちで、1990年に太久保酒造を設立しました」

太久保酒造 代表取締役社長中山信一さん
太久保酒造 代表取締役社長
中山信一さん

焼酎メーカーになったとはいえ、他の焼酎メーカーに原料を供給する立場でもある。顧客と競合するような商品は造れない。そこで太久保酒造は、他のメーカーにはない、独自の商品づくりにこだわってきた。たとえば、通常は蒸し芋で仕込むところを焼き芋にする、黒麹での仕込みの一部に黄麹を使う、などだ。

「侍士の門」はそんな独自性の強い商品のひとつ。営業本部長の吉元 信さんは語る。

「侍士の門は、侍が飲み交わした焼酎をイメージして開発した商品です。米麹には、160年ほど前に栽培されていた幻の酒米『白玉』の苗を探し出して契約栽培したものを使っています。少量しか獲れない米なので非常に高価です。また、さつま芋も、今ある芋のルーツといわれる源氏芋を使っています。これらの原料をもとに昔ながらの甕仕込みで仕上げました」

太久保酒造 営業本部長吉元 信さん
太久保酒造 営業本部長
吉元 信さん

「太久保酒造は小規模な酒蔵なので小回りが利きます。杜氏は自分たちが造りたいと思った焼酎だけを造っています」と中山社長。それだけに、同社製品の販売量は多くはない。「侍士の門」も、店頭で見つけたらぜひ手に入れておきたい。

160年ほど前に栽培されていた幻の酒米『白玉』
160年ほど前に栽培されていた
幻の酒米『白玉』
農家支援のために生まれた「侍士の門」
農家支援のために生まれた
「侍士の門」
白・黒・黄の3つの麹で仕込んだ自社の焼酎が優等賞同時受賞
白・黒・黄の3つの麹で
仕込んだ自社の焼酎が
優等賞同時受賞

かごっまふるさと屋台村で出会った、侍士の門に合う料理

かごっまふるさと屋台村の店舗番号12「さくらじま」で、侍士の門に合う料理を探してみた。桜島溶岩のうえで食材を焼いて楽しむ「地魚溶岩串焼き3種盛り」は、その時々の旬な魚介類を一挙に味わうことのできるメニュー。どれも新鮮で間違いのない美味しさ。「桜島産 活タコの溶岩踊り焼き」は見た目も楽しく味わって美味しい一品だ。

さくらじま 店長吉田周平さん
さくらじま 店長
吉田周平さん
写真右下:地魚溶岩串焼き3種盛り
写真右下:地魚溶岩串焼き3種盛り
桜島産 活タコの溶岩踊り焼き
桜島産 活タコの溶岩踊り焼き

指宿白水館「焼酎道場」おすすめの【味わう】焼酎

指宿白水館「焼酎道場」がおすすめしてくれた「聴く」焼酎は、「黒麹づくり 安納」(種子島酒造)だ。

ここ数年で一挙にメジャーになった安納芋を原料に、一次も二次も国産の甕壺で仕込んだ焼酎。ひとくち飲めば、濃厚でブランデーのような風味に驚かされる。

太久保酒造 営業本部長吉元 信さん
「黒麹づくり 安納」
種子島酒造

焼酎の美味しい飲み方「水割り」「前割り」

正しい水割りは、冷やしたグラスにたっぷりと氷を入れて、氷に当てるように焼酎を注ぐ。次にミネラルウォーターを入れ、2、3回ステアする。軟水で割ればまろやかに、硬水で割ればシャープに、焼酎の味を感じられる。焼酎と水の比率は6:4が一般的だが、個性が強い焼酎の場合は、4:6や3:7でもしっかりと味わえる。

鹿児島では、あらかじめ水割りを作って2~3日寝かせておく「前割り」もメジャーだ。水と焼酎がよく馴染み、角が取れてまろやかな味わいになる。前割りした焼酎を専用の土瓶「黒ぢょか(千代香)」に入れて温めれば、雰囲気抜群の前割り燗を楽しめる。

焼酎の美味しい飲み方「水割り」「前割り」
2019/7/1 Neojapan
記事をシェア
  • facebook
  • twitter
  • line
  • tumblr
PAGE TOP