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山口県を代表する
純米大吟醸『獺祭』

山口県を代表する純米大吟醸『獺祭』

山口県は、9年連続・国内で唯一清酒出荷量が増えている。それを牽引しているのが岩国市にある「獺祭(だっさい)」を製造している旭酒造株式会社だ。

清酒業界の常識を次々と覆し20年間で約500%の売り上げ増を達成。山口県岩国市の中心地から離れた山間の地で、世界中から注文が殺到する人気ブランド「獺祭」を生み出した快進撃の秘訣はどこにあるのだろうか?

清酒業界の風雲児と称される純米大吟醸「獺祭」

23%まで磨かれた米
23%まで磨かれた米

旭酒造には杜氏がいない。

醸造するのは原料の山田錦を50%以下まで磨いた純米大吟醸のみ。

国内では最高の精米歩合とされる23%の純米大吟醸「獺祭 磨き二割三分」も造っている。

さらに、地酒は冬に醸造するのが一般的だが、旭酒造では空調設備で季節に関係なく通年生産を行っている。

チームワークで他では真似できない純米大吟醸酒を造る

酒造りの見える化

旭酒造の純米大吟醸酒造りの基本は「酒造りの見える化」だ。

精米から瓶詰めまで酒造りのすべての工程のデータを記録し、原材料の水分や温度はもちろん、発酵中のもろみに含まれる酸やアルコールの割合の変化までデータを分析している。

旭酒造 製造部 主任 小本哲也さん
旭酒造 製造部 主任
小本哲也さん

加えて、米の表面を削り落とす「磨き」に、39%になるまでには60時間、23%になるには80時間もの時間をかけている。

「早く磨いてしまうとお米自体の水分が失われ割れてしまうので時間をかけて磨きます」小本さん。

磨きをかけた米は15kgずつ小分けをし、洗米を行っている。「小分けにして洗うことで吸水のバラツキがなく一定の品質を保てます」と小本さんは語る。

洗米後の米に含まれる水分量を0.3%以下の精度でコントロールするため試行錯誤を繰り返した結果なのだ。

吸水した米を伝統的な和釜技法で蒸した後、重量機をつけた作業台に米を広げ、余分な水分を飛ばす。かつては職人の経験と勘が頼りだったが、重量機の計測値を見れば水分の蒸発量がすぐわかる。

酒米の水分を飛ばす作業
酒米の水分を飛ばす作業

作業を行うすべての部屋は温度管理され、発酵室は年間を通して5℃に設定。発酵を行うタンクにも温度計がつけられ、発酵の進み具合によって0.1℃単位で温度の調整を行っている。

作業を機械化する一方で手間暇も惜しまない。さらに社員同士が一丸となったチームワークにより、国内外の食通も唸る純米大吟醸酒「獺祭」が造られているのである。

四季醸造を可能にした醸造フロア
四季醸造を可能にした醸造フロア

低価格路線から品質重視への転換と試行錯誤の歴史

旭酒造は、かつて200年以上に渡り普通酒のみ造り続けていた会社である。1984年、現在は旭酒造会長を務める桜井博志氏が社長に就任した当初はいわゆる「県内では負け組」。その環境を変えようと取り組む中で、それまで低価格で売り上げを伸ばそうとしていた戦略から製品の品質を重視する路線へと変更を決断し、純米大吟醸酒造りをスタートする。

ところが、当初は社内に純米大吟醸酒造りの経験や知識を有する従業員が皆無だった。さらに杜氏の技術力という課題もあり、1990年に「獺祭」 が完成するまでには6年もの年月を要する。

1990年「獺祭」の販売が始まると、徐々に評判が高まり売り上げが上昇。しかし、この後、旭酒造は大きな危機に直面する。

1998年、杜氏が突然退職を申し出た。このとき、桜井博志氏は、新たに杜氏を雇用せず、製造経験ゼロの社員とともに杜氏なしで純米大吟醸酒造りをする決心を固める。

桜井博志氏は、自ら「酒の分析」や「データ解析」などに取り組み「酒造りの見える化」を推進。加えて、誰が作業を行っても同じ品質を保てるように、醸造の工程で問題が生じたときの解決法をドキュメント化するなど、技術の標準化も進めた。

さらに、蔵全体を温度管理して冬季のみだった仕込み期間を徐々に増やした結果、1年中酒を醸造できるようになり、常に新鮮な商品を供給する能力と、その結果として品質が大幅にアップしたのである。

仕込みのタンクは常に一定の温度で管理されている
仕込みのタンクは常に一定の温度で
管理されている

「獺祭」は、さらなる市場拡大を目指して海外進出を決断する。2002年に台湾、翌年はアメリカと、海外でも次々に販路を拡大した。

現在、獺祭は国内だけでなく海外の店舗でも販売しており、20カ国以上に輸出している。日本酒全体の輸出金額の7%強が獺祭である。

さらに、獺祭の出荷量が増えるにつれて、原料米である山田錦の確保が大きな課題となった。

そこで、旭酒造は各地の農家に山田錦の増産を依頼し、情報技術サービスの提供などを開始。さらに、山田錦栽培技術の指導や種子の確保などを行った結果、山田錦の生産量が大幅に増加し、獺祭は山田錦を安定確保できるようになった。

獺祭のグローバル化をきっかけに、旭酒造と農家が一丸となって山田錦の増産に取り組み、農業の活性化にもつながっているのである。

世界市場で認められた獺祭は「その先へ」

旭酒造本社では、獺祭製造工場の見学のほかに、獺祭の有料試飲を行っている。

試飲や獺祭関連の商品が購入できる獺祭ストア
試飲や獺祭関連の商品が
購入できる獺祭ストア
基本4種類の獺祭が試飲できる
基本4種類の獺祭が試飲できる
「獺祭」スパークリングが飲みやすい
「獺祭」スパークリングが
飲みやすい

精米歩合二割三分、三割九分、五割と3種類の純米大吟醸酒を飲み比べると「磨き」の違いを舌で感じることができるだろう。

さらに、獺祭の中でも最上級、精米歩合23%からさらに磨きをかけた『獺祭 磨き その先へ』も有料で試飲が可能だ。

オプション(有料)で試飲ができる「獺祭 磨き その先へ」
オプション(有料)で試飲ができる
「獺祭 磨き その先へ」

「獺祭 磨き その先へ」は、ガラス製のちょこに口をつけると、何の抵抗もなく喉元に酒が到達しようとする。その刹那、獺祭特有のやさしくフルーティな香りが広がり、やわらなか後味が心地よくフワッと抜けていく。純米大吟醸酒のおいしさがいつまでも余韻として残っている…

これまでに味わったことのない、洗練の極みのような純米大吟醸だ。日本酒の常識が180度覆ってしまうと断言できる。

心地よい余韻に浸ってます
心地よい余韻に浸ってます
濃厚なのにサッパリ味の獺祭アイスもおすすめ
濃厚なのにサッパリ味の
獺祭アイスもおすすめ

初代総理大臣が生まれた地
伊藤博文公記念公園

旧伊藤博文邸

旭酒造から車で約20分、光市にあるのが伊藤公記念公園だ。公園内の伊藤公博物館には、光市生まれの初代総理大臣伊藤博文ゆかりの品などが展示され、幕末から明治時代にかけての日本の動きがわかりやすく解説されている。

また、公園内には伊藤博文公の生家や産湯に使ったとされる産湯の井戸、伊藤博文が自ら基本設計を行った旧伊藤博文邸などが保存されている。

参考:Webサイト/旭酒造株式会社「獺祭」、山口県の日本酒製造業の取組み(日本銀行下関支店)、伊藤公記念公園
2017/4/18 Neojapan
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