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Future Foods
ALL北海道の純米酒

大雪山系からの雪解け水は至高の資源!上川町の水と北海道産の酒米でつくるALL北海道の地酒「上川大雪」

北海道は、地元で採れる数多くの農産物を活かした食品や飲料が数多く存在する。さらに食米だけでなく、加工米の一種である酒米への取り組みにも力を入れている。旭川の北に位置する上川町では、地産食材の魅力を活かした日本酒造りで新たな町おこしにチャレンジしている。

上川町は大雪山系からの雪解け水を活かした町おこしを目指す

北海道のほぼ中央にある大雪山国立公園の北方部に位置する上川町は、大雪山連邦の自然と、北海道一長い石狩川の清流に恵まれた町である。冬は氷点下20度になる極寒の地だ。

この地域は、大雪山系の山々が蓄えた雪解け水が地下にしみこみ、肥沃な大地が天然のフィルターとなって、長年かけてろ過をする。大地の下には澄みきった地下水が豊富に流れているのだ。

東神楽町の美しい棚田風景
大雪山国立公園内旭岳

地元の人には当たり前である希少な水資源を活用した街おこしが試みられている。その中で最近、注目を集めているのが、北海道発の酒造メーカー、上川大雪酒造株式会社だ。

上川大雪酒造 醸造所
上川大雪酒造 醸造所

1383%という脅威のクラウドファンディング達成率!
期待を集めるALL北海道の地酒

2017年5月、北海道に戦後初の日本酒メーカー「上川大雪酒造」が誕生したというニュースは、地元北海道のみならず、酒造業界でも注目を集めた。日本酒造りを休止していた三重県の酒造会社を北海道上川町に移転。2017年5月、移転許可が認められ、北海道に数十年ぶりの酒蔵、上川大雪酒造「緑丘蔵」が誕生したのである。

さらに本格醸造前に行う試験醸造の資金を集めるため、クラウドファンディングを導入したことも話題になった。返礼品は試験醸造酒。誰も味を知らない日本酒への投資だったが、最終的に集まった金額は1383万円超!目標金額100万円に対し達成率1383%という驚異の数字を出した。北海道随一の全量純米蔵に対し、多くの人が期待を寄せた結果である。

上川大雪酒造で杜氏を務める川端慎治氏は、北海道・小樽生まれ。大学時代に日本酒のおいしさに衝撃を受け、酒造りを志したそうだ。7つの酒蔵で酒造り経験を重ね、現在に至る。

上川大雪酒造 杜氏 川端慎治さん
上川大雪酒造
杜氏 川端慎治さん

川端さんが目指しているのは「ごく普通においしい酒造り」だ。

北海道弁には「のまさる」(ついつい飲んでしまう)という言葉があるが、まろやかでスッキリしているので「酒のせいで杯を重ねてしまう」製品を心がけている。

それは、「基本に忠実なおいしい酒が減っている」と自身が感じているからでもある。

国立公園に隣接し名水で知られる上川町は「酒造りに適した土地だと思う」と川端さんは言う。地下水の温度は年間を通して約7度と日本酒造りに最適だ。さらに、酒米は北海道産の「彗星」「吟風」「きたしずく」の3種類を使用。原料から製造までALL北海道の日本酒だ。

小ロットで丁寧に仕込むから、おいしい日本酒が生まれる

上川大雪酒造の社屋は、倉庫以外すべて窓がついている。「旭山動物園の行動展示を意識した」という建物は、外からいつでも酒造りの様子が見ることが可能だ。

製法は、昔ながらの手法で小ロットずつ仕込むのが特長だ。洗米、浸水、脱水の工程はすべて秒単位だ。時間のズレが生じると、後の工程でブレが生じるためだ。「数値通りに行うと品質が安定するだけでなく、作業が標準化できるというメリットもあるんです」(川端さん)。

洗米準備
洗米準備
浸水
浸水
脱水
脱水

麹作りの工程で注目すべきは、自家製の麹箱を使っていることだ。底がすのこ状になっているのが一般的だが、ここでは底板を敷いた上に金網を載せている。川端さんによると「この箱のお陰で温度管理がしやすくなった」そうだ。

もみ上げ
もみ上げ
麹室
麹室
自家製の麹箱
自家製の麹箱

その後、仕込み、絞り、瓶詰めの工程を経て完成。オンラインショップや上川町近辺の取扱店で販売される。

できたばかりの新酒
できたばかりの新酒
北海道の海の幸と新酒
北海道の海の幸と新酒

上川大雪酒造のオンラインショップがオープン

上川大雪酒造の純米酒は、試験醸造の段階から注目が高く、旭川市の某酒店ではわずか5時間で100本完売した。

2017年11月8日、上川大雪酒造から本格的な出荷が始まるタイミングにあわせてオンラインショップがオープンした。既に売り切れの商品もあるが、まだまだ魅力的な商品が購入可能だ。

年々成長をしている北海道の酒米

北海道産の酒米(酒造好適米)の歴史は約20年にすぎない。日本酒の原料米として最も有名なのは山田錦だが、北海道のような極寒の地では育たないのだ。そのため、北海道では長年他県の酒米を購入して日本酒を仕込んでいた。

そこで寒さに強く心白がある酒米を目指して品種改良を重ね、1998(平成10年)から作付が開始される。現在北海道で栽培されているのは「彗星」「吟風」「きたしずく」の3種だ。彗星はさっぱりとしていてクセがない味、吟風は芳香な香り、きたしずくはまろやかでスッキリしているのが特長である。

ホクレン 米穀事業本部 米穀部 原材料米課 髙橋宏彰さん
ホクレン
米穀事業本部 米穀部 原材料米課
髙橋宏彰さん

北海道の酒米について、ホクレン米穀事業本部米穀部原材料米課の髙橋宏彰さんは「山田錦などの有名な酒米より値段が手頃、質もよい」と語る。

そのコストパフォーマンス良さがあって、道内だけでなく全国的に有名な蔵でも北海道の酒米を使用するところが増えているそうだ。

一方で、「北海道産の酒米は、知名度、人気ともに酒米界の“ゆめぴりか”を目指している状態なので、まだ需要を開拓する余地があると思います」と期待を寄せる。

北海道産の酒米が、食米“ゆめぴりか”と同様に北海道を代表する農産物となる日は遠くないだろう。

上川町の元祖町おこし「上川町ラーメン」

上川町では、約30年も前から「ALL北海道」をキーワードに町おこしをしている。それが「上川町ラーメン日本一の会」だ。

「喰い処あかし」明石有祐さん
「喰い処あかし」
明石有祐さん

北海道の小麦と大雪山系の清涼な水を使った上川町ラーメンは、店ごとにスープの出汁や味付けが異なるのが特長である。

その中で若手ホープと期待されているのが「喰い処あかし」の明石有祐さんだ。

店の開業は今から30年以上前、当初は弁当や仕出し中心だったが、後にラーメンを始めたそうだ。麺は、道産小麦キタノカオリを使い、甘みとモチモチ感が強いのが特長だ。

北海道産の小麦キタノカオリを使った麺
北海道産の小麦
キタノカオリを使った麺
細くても腰が強うそうな麺
細くても腰が強うそうな麺

炙りバラチャーシューは、上川町産のブランド豚肉「渓谷・味豚(みとん)」を使用。肉質が柔らかく脂がしつこくないので食べやすい。魚介系スープの上に浮かんだラードと鶏油のブレンド油が適度なコクを出し、何度でも食べたくなる味だ。

喰い処あかしの上川ラーメン
喰い処あかしの上川ラーメン

喰い処あかしは、夜は居酒屋として営業しているので、飲んだ後の締めにラーメンを注文する人も多い。事前に予約すれば渓谷・味豚をはじめ地場産のコース料理や寿司、刺し身も味わうことが可能だ。地元で長年愛されている店だけあり、誰もが「ここに来てよかった!」と満足するだろう。

JR上川駅すぐの好立地にある喰い処あかし」
JR上川駅すぐの好立地にある喰い処あかし」

上川町では、ラーメン、日本酒と地場食材を活用した「民間からの町おこし」が誕生している。自ら地元の魅力に気づき感動したからこそ「より多くの人に広めたい!」という意欲が湧き上がるのだろう。

ただし、この町には、そばをはじめ他にも極上の地産素材がたくさんある。どんなものがあるか気になったら、現地に足を運んで確認してみよう。

上川町とアイヌ

アイヌ

上川という地名は、アイヌ語の「ペニ、ウングル、コタン」(川上にいる人の部落)に由来するほど、この地とアイヌは関係が深い。道内有数の規模を誇る層雲峡温泉では、毎年、夏に層雲峡温泉峡谷まつりが開催される。アイヌ民族に長年語り伝えられた伝統儀式「フクロウ神事」、火まつり太鼓やアイヌの民族舞踊など披露され、毎年大勢の観光客が訪れる大イベントだ。

参考:Webサイト/上川大雪酒造、北海道上川町における日本酒製造事業への参画に関するお知らせ(日本キャピタル)、北海道のお米(ホクレン)、上川町ラーメン日本一の会、上川の由来(上川生産農業協同組合連合会)※上川町とコラム内、層雲峡温泉峡谷まつり(層雲峡温泉観光協会)
2018/1/25 Neojapan
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