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moved to Hokkaido
北海道子育てNo.1自治体「上士幌町」

函館から460kmの長距離移住。母子ともに幸せに暮らせる町とは

東京23区と同じ広さに約5,000人が住む「上士幌町(かみしほろちょう)」。その人口が増えている。道内の自治体のうち人口増加率4位(大都市を除けば1位)で、住宅が足りなくなるほどだ。移住者に話を聞きつつ、上士幌町の子育て支援策や移住促進策を探ってみよう。

多くの日本人が忘れかけている「あたり前の幸せ」が手に入る町

函館から460km離れた上士幌町に移住してきた齊藤恵里さん
函館から460km離れた上士幌町に
移住してきた齊藤恵里さん

北海道の真ん中あたり、十勝平野の北部に位置する上士幌町。この町に、同じ北海道の函館市から移り住んできたのは、齊藤恵里さんのご家族だ。

人口26万人を抱える北海道有数の都市から、人口約5,000人、面積の4分の3を山林が占める自然豊かな町へ。移住して1年も経っていないが、齊藤さんはこの町がすっかり気に入った様子だ。

「朝、窓を開けると、緑の山々が連なる景色が目に飛び込んできます。夏になれば広い空にカラフルな気球が飛んでいることも。函館に住んでいる時はあまり感じることがなかった自然や季節の移り変わりを、ここではとても身近に感じることができます。住むところがあって仕事があって、朝と夜には子どもと一緒にご飯を食べられる。近所の人たちとの触れあいもある。

上士幌町に来てから、そんなあたり前の生活があたり前にできるようになったことに、とても幸せを感じています」と齊藤さん。

日本一広い公共牧場ナイタイ高原牧場
日本一広い公共牧場
ナイタイ高原牧場
上士幌町で開催される北海道バルーンフェスティバル
上士幌町で開催される
北海道バルーンフェスティバル

本人と、中学生の娘1人、幼児2人の計4人暮らし。幼児2人を預けている認定こども園「ほろん」に、齊藤さんも保育教諭として勤めている。園で齊藤さんがエプロンを着けると“えり先生”になり、エプロンを外すと“お母さん”になることを、子どもなりにきちんと理解して使い分けてくれているという。

女4人の齊藤さん家族
女4人の齊藤さん家族

ふるさと納税の収益で子育て支援を充実

上士幌町では子育て支援が充実している。認定こども園の利用料は、幼稚園型・保育所型ともに無料。高校卒業までの子どもにかかる医療費も全額無料。また、子育て家庭向けの住宅支援もいろいろとある。

その他にも、幼児期から高校まで、教育、医療・福祉、生活環境のあらゆる分野にわたって、子育て家庭に手厚いサポートを行っている。

上士幌町子育て支援策(一例)

制度 内容
保育支援
  • 認定こども園の料金が無料(2016年度から10年間)
  • 認定こどもで延長・預かり保育を実施
  • 認定こども園併設の子育て支援センターを地域に開放
教育支援
  • 小中学校にパソコン整備
  • 上士幌中学校にてキャリア教育を推進
  • 就学困難な家庭へ学用品や給食費を援助
医療・保健・福祉支援
  • 子ども医療費を高校生まで無料
  • ひとり親家庭の医療費の一部を助成
  • インフルエンザ予防接種費用の全額助成
  • 妊婦健康診査費用を助成
その他
  • 子育て世帯向けの賃貸住宅を低価格で提供
  • 子育て世帯が住居を新築した場合、子ども1人あたり100万円を助成
  • スタンプを集めて5,000円の商品券がもらえるカードの交付

なぜ、小規模な町がこれほどまでの充実した子育て支援をできるのか。その秘密は「ふるさと納税」にある。

上士幌町は、制度が始まった当初からふるさと納税に力を入れ、返礼品として和牛やアイスクリームなどの特産品を提供することで、全国でも屈指の人気を誇る自治体となった。寄付額は毎年増え続け、平成28年度には約21億円に。

ふるさと納税で人気!生まれも育ちも十勝・上士幌町の町内一貫生産牛である「十勝ナイタイ和牛」
ふるさと納税で人気!
生まれも育ちも十勝・上士幌町の
町内一貫生産牛である「十勝ナイタイ和牛」

この寄付金のうち大部分を子育て・少子化対策基金として積み立て、さまざまな子育て事業を展開してきたのだ。そんな上士幌町だからこそ、齊藤さんは、あたり前の幸せをかみしめることができている。

木の温もりがある園舎、英語の授業もある認定こども園

2人の子どもが通い、齊藤さんが働く認定こども園「ほろん」も、ふるさと納税の資金を利用して無料化が実現された。

8ヵ月~5歳までの子どもを受け入れる「ほろん」は、2015年に開園したばかり。同じ敷地内に保育所型と幼稚園型が併設され、地域の子育てをサポートする機能「子育て支援センター」も備える。

0歳児保育施設
0歳児保育施設
アスレチック施設「ほろんの森」
アスレチック施設「ほろんの森」

道産のカラマツを使った温かみのある園舎や、どろんこ遊びができる砂場・水場に忍者小屋もある園庭が特徴で、約150名の子どもたちが元気に遊び、学んでいる。

英語教育にも力を入れ、アメリカ出身のメイ先生による英語教室を年中・年長クラスでは週2回開催。また、調理の様子がよく見えるガラス張りの給食室を設置し、地元産の食材をふんだんに使った給食を提供するなど、食育にもこだわりを見せる。

メイ先生の英語教室
メイ先生の英語教室

定員がないために待機児童はゼロ。「ほろん」があるから移住してきたという子育て世帯も少なくない。香田究園長は、「入園するお子さんが増えて続けており、園舎を増築しているところです」と嬉しい悲鳴を上げる。

地産地消の給食
地産地消の給食
0歳保育施設増築中
0歳保育施設増築中

仕事と子育ての両立を目指し、上士幌町への移住を決意

齊藤さんはもともと函館の西に位置する檜山郡江差町で農家をしていたが、離婚して母子家庭に。農業は忙しく、最盛期になればハウスの横のプレハブ小屋に寝泊まりして、深夜を問わず作業をすることもあった。

たくさんの子どもに恵まれながらも、生活維持と理想の子育ての壁にぶつかり、自問自答する日々の中、職業訓練校で資格取得を目指す道を選択。そして、社会人学生として函館短期大学に通い、保育士と幼稚園教諭の資格を同時に取得した。

保育教諭としてこども園「ほろん」に勤める齊藤さん
保育教諭として
こども園「ほろん」に勤める齊藤さん

仕事と子育てを両立できる自治体・就職先を探していたところ、上士幌町に出会う。住居をはじめとする移住に関する悩みや疑問には、NPO法人上士幌コンシェルジュが相談に乗ってくれた。

齊藤さんは移住を決断。函館から460kmも離れている上士幌町には縁もゆかりもない。それでもこの場所なら自分の求める暮らしができるかもしれない。そう考えて2017年春、新たな地で人生を再出発させた。

私たち家族を受け入れてくれた町に恩返しをしたい

移住するに当たって一番不安に思っていたのは子どもの反応だったが、余計な心配だったようだ。

「移住してからは家族で朝晩一緒にご飯を食べられるようになり、休日もきちんと休めるので、娘たちはとても喜んでくれています。上の子は中学校で転校生でありながら生徒会の役員をやるなど、親の心配を余所に自らクラスに溶け込んで、日々楽しく過ごしているようです。下の子たちとは毎朝一緒に登園し、私が働いている間、園でとてものびのびと過ごしていますよ」

こども園「ほろん」
こども園「ほろん」

新たな環境、新たな職場で、愛する家族とともに充実した毎日を送る齊藤さん。これから上士幌町でやりたいことがあるという。

「子ども連れでの移住を受け入れてくれた上士幌町に感謝しています。保育教諭1年目で教えていただくことばかりなのですが、スキーなどの特技を生かして、いずれは町に恩返しをできたらなと思っています」

寄付金を活用し、移住や若い世代の就労・子育てをサポートする施策を積極的に講じてきた上士幌町。その成果が実を結び、2015年から人口は転入超過まで回復した。齊藤さんのように「町に貢献したい」と考える移住者の増加により、過疎の町は活力を取り戻しつつある。

NPOが上士幌町への移住・定住をそっとフォロー

NPO上士幌コンシェルジュ川村昌代さん
NPO上士幌コンシェルジュ
川村昌代さん

私たちNPO法人上士幌コンシェルジュでは、移住・定住促進に関する事業全般を上士幌町から委託されています。町と連携を取りながら、移住・定住を希望する方の窓口となって、移住体験プログラムの実施、不動産の紹介、イベントの企画運営などを行っています。

ただ、移住をした後のフォローはほとんど行っていません。

なぜなら上士幌町では、先輩移住者が後から移住してきた人をフォローするという環境ができているからです。月に1回、先輩移住者が開催する「誕生会」や、移住者が中心となって開催するフリーマーケットなどで、移住者同士や町民との交流が行われています。私たちの役割は、そういった交流を裏方としてサポートすることです。

2018/1/25 Neojapan
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