今や県を代表する果実として有名な宮崎の完熟マンゴー。日本でマンゴーがほとんど知られていなかった1976年、宮崎県の農業試験場でマンゴーの栽培試験が開始された。宮崎県は日照時間が長く温暖な気候だが、マンゴーのハウス栽培は初の試みだ。その後、1986年に西都市の農家でマンゴーの栽培が始まったが、栽培方法を研究しながら生産を行うという試行錯誤の連続だった。
宮崎県は、輸入品や国内他産地のマンゴーと差別化を図るため、味や香り等を追求し、完熟マンゴーを作ることにこだわった。
しかし、マンゴーは早採りすると糖度が低くなってしまう。一方、完熟するまで待つと地面に落下して傷つき商品価値が下ってしまうことが問題だった。そこで考案されたのが1個ずつマンゴーにネットをかぶせ、完熟して落ちた果実をネットでキャッチする「ネット収穫法」だ。今では、マンゴー栽培は、全国に広まりつつある。そして、宮崎県が考え出した「ネット収穫法」が当たり前のように行われている。
マンゴーの樹が成木となったハウス1棟の中には約2,000個ものマンゴーが実をつける。1個1個すべてのマンゴーにネットをかぶせるのは気の遠くなる作業だ。
しかし、すべてのマンゴーにネットをかぶせ、果実にまんべんなく太陽の光が当たるように栽培することで、色、大きさ、香り、食感、味と「他のどの産地にも負けない」と胸を張れる一級品を生産できるようになった。
その結果、誕生したのが宮崎県産完熟マンゴーの最高峰「太陽のタマゴ」だ。
宮崎県産完熟マンゴー出荷量全体のわずか10~15%程度しか与えられないこの称号は、1玉350g以上、糖度15度以上など厳格な規格が設けられている。
今から40年前、手探りの状態から始めたマンゴー栽培だが、今では原産地にも引けをとらない最高の品質を誇り、海外でも引く手あまたである。
宮崎県産マンゴーは、最高の品質を追求するため手間暇を惜しまない。まさに「みやざきブランド」を象徴する存在だ。言葉で表現するのは簡単だが、少なくとも30年以上の年月で蓄積した努力の賜物は、一朝一夕では真似できないだろう。
宮崎式の収穫方法(ネット収穫)の技術が確立
「太陽のタマゴ」の販売解禁日を設定