その昔、地上ができる前から高天原と呼ばれる天上界があり、多くの神々が住んでいました。あるとき、天上界に住む太陽神アマテラスオオミカミは、地上での混乱を抑えるために孫のニニギノミコトを高天原から地上に送りました。このときアマテラスオオミカミはニニギノミコトに草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八咫鏡(やたのかがみ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の三種の神器を渡しました。
アマテラスオオミカミの「孫」であるニニギノミコトは、天から地上に降りてきました。これが「天孫降臨(てんそんこうりん)」です。天孫降臨は、神々が地上に新しい統治機構を築いた日本最古のイノベーションでした。
ニニギノミコトが来臨したといわれる「高千穂」には水がまったくありませんでした。そこで、ニニギノミコトはアメノムラクモに一旦高天原に上がり、高天原で水の種をもらってくるよう命じました。
天孫降臨の地は宮崎県内でも伝承が伝わるところがいくつかありますが、この水の種が、高千穂町にある「天の真名井(あめのまない)」だといわれています。高千穂は、現在も名水が湧き出す地として有名ですが、ニニギノミコトもこの水も飲んできたのかもしれません。
国の名勝天然記念物指定されている日本を代表する景勝地。真名井の滝は、アメノムラクモノミコトが高天原から持ってきた水種「天真名井」が水源と伝えられている。
槵觸(くしふる)神社にある天の真名井から湧き出す清らかな水は、神代川から「真名井の滝」へと注がれます。日本の滝百選にもなっている「真名井の滝」は、春は新緑、夏はライトアップ、秋は紅葉、と季節によって違う表情を魅せる人気スポットです。遊歩道から眺めるのではなく、貸しボート*で滝つぼの直前まで近づくのがオススメ。水しぶきを浴びながら見る滝の落ちる様子は、まさに圧巻です。
高千穂峡を周遊できる大人気の貸しボート。シーズン中は利用者が殺到し数時間~5時間待ちという状況もあるそうです。朝早くいって時間指定の整理券をもらえば待ち時間を有効に利用できます。
貸しボートの時間が来るまで遊歩道を散歩したり、天孫降臨したニニギノミコトが祀られている「高千穂神社」へ御朱印を頂きに行くのもおすすめです。
創建は約1900年前に遡り、高千穂郷八十八社の総社である。天孫降臨の比定地のひとつとされ、ニニギノミコトを含む日向三代などが祀られている。本殿と鉄造狛犬は国の重要文化財。
また、高千穂にある国見ヶ丘という地名は、カムヤマトイワレヒコノミコト(神武天皇)の孫であるタテイワタツノミコトが九州統制のため阿蘇に向かう途中に、この丘から四方を眺めたことに由来すると伝えられています。
高千穂霊峰に降り立ったニニギノミコトの子孫であるタテイワタツノミコトが、高千穂から他の地へ旅立ったというのは決して偶然ではないかもしれません。
標高513mに位置し、視界には阿蘇の五岳や祖母連山などが広がる。雲海の名所として知られ、霧が立つと、高千穂盆地や周囲の山を覆い隠し、幻想的な風景が広がる。
国見ヶ丘の魅力は、高千穂の山々や棚田を一望できる眺望の素晴らしさ。さらに、昼と夜の気温差が大きい9月中旬から1月下旬の早朝は、運がよければ雲海を見ることができます。
朝日が差し込む中、周囲に雲海が広がる様子は神々が降臨した当時を再現しているかのよう。この神聖な雰囲気はぜひ現地を訪れて体感してください。